仮称「1対1の会話だと話せるが、3人以上の「グループ」になったとたん黙り込む」問題について

はてブをちまちまチェックしているとなかなか興味深いエントリーを発見。
http://blueperiod.blog.shinobi.jp/Entry/1030/
これは多分ね、多人数間コミュニケーションにおける注目リソースの分配問題。集団での会話が苦手な人というのは出来上がったコミュニケーションに分け入るのが苦手なのだと思う。
どういうことか説明する前に会話一般についてちょっと考えてみる。ちょうおおざっぱに言うと会話というのは以下の三つの段階に分けられる。
まず相手の話を聞いて内容を理解するフェイズ、次に会話の内容に応じた応答を考えるフェイズ、そして実際に発言するフェイズと、これらを遅くとも2、3秒以内にはこなさなくていはいけない。会話というのは実は結構高度な情報処理。*1まあ人間というのはそれなりに上手く出来ているので、個人差はあれ大体の人は1対1であればこの辺のことを問題なくこなせる。で、ここで関係してくるのが1対1の会話と集団でのそれとの違い。それも最も大きな要因はコミュニケーションを取る相手への意識の集中と分散だろう。
1対1での会話の場合は、コミュニケーションを取る相手が限定されているため、自然お互いの言動に意識が集中することになる。従って、相手の話の理解があやふやであったり、反応が遅れてたりしても、その後のコミュニケーションの継続で挽回は可能だ。ところが多対多の多人数間コミュニケーションの場合は事情が異なってくる。この場合は単純に会話を成立させ得る相手の数が多くなる。従って、注目すべき対象の数は増えるし、自分以外の複数の相手が成立させている会話内容の多様性も広がる。これらはもちろん処理すべき情報が飛躍的に増大することにも繋がるが、最も大きなことは自分以外の誰かと誰かが会話を成立させることができるということだ。これはつまり自分がその場の注目から外れるということを意味する。
さて、ここで問題になるのが多人数間で自分が積極的に会話を成立させていく困難である。それはすなわち複数の対象に分散した他人の意識を自分に集中させることであったり、現在会話中の複数人の意識をある意味で強引に自分に向けさせる困難ということだ。これには1対1のコミュニケーションと違ってゼロの状態から他人の注目リソースを集める能力が必要になってくる。多対多のコミュケーションというものは自己アピールの要素が大きいのではないだろうか。そもそも元記事の主題が恋愛関係のスレッドから取られているのは興味深いところだ。

*1:実際はこういう風な段階にキッチリと分けられるわけではなく、状況把握とフィードバックが複雑に絡み合って同時進行していくものだと思う。