三体 劉慈欣

 

三体

三体

 

 今更ながら読了。評判通りわりと大掛かりな設定の本格SFで、文革から始まる近代中国の歴史的社会的背景も綺麗に取り込んだ良作。ややネタバレになるが物語の軸も啓蒙思想としての科学とグノーシスっぽい反出生主義との対立を他星系の知的生命体の悪意をバックにして描き出す、なんというか往年のSFっぽさが懐かしい風味。三部作らしいので続編も楽しみ。しかし、これだけ壮大な正統派SFが生まれるということはそれ相応のSFの土壌が中国にはあるということなのかしら。この本をきっかけに翻訳が進んでくれるとありがたいところ。