ひげの文豪へのオマージュ

知に働けば角が立つと申します。角が立てば歩き難いは世の道理。利害と感情の角にいちいち突き刺さっていては歩くどころか生きることさえままならぬ。それが嫌だとて、向かうは角も立たねば花も咲かぬ荒れ地か。右を見ても左を見ても心穏やかに暮らすには向かぬ場所。とかくにこの世は住み難い。

情に棹させば流されるとも申します。流されるのは時として心地よくもあり、感情と寄り合いの妙なる調べに流れ流され三千里、というのもたまには乙なもの。とはいえ流されすぎると岸に戻るのも一苦労。あなたの流されるのをほくそ笑んで眺めるのは果たして流したその当人か。情に流されるのが人間というのものならば、そこには情に流した人間というのも居るものでございます。御用心、御用心。