スタジオパークとかいう番組を見た

昼頃メシを喰いながらNHKを見ていて、宮崎ぁぉぃ先生の素晴らしさに悶絶していたら、その後茂木"クオリア"健一郎のおっさんが出てきてなんか喋っていた。この人は一応学者という肩書きのようだが何故かエッセイばかり書いていて、ちゃんと研究しているのかよくわからない。その上あまり面白いことも言わないのでいまいち興味がわかず、従って、最初の方は聞き流していたのだが脳科学関係のトピックで色々説明していたらしい。この人はメディアへの露出が多くてその分一般向けの啓蒙活動というものに特化しているのだろうかとも思っていたのだが、話がちょっと深くなるとアナウンサーとのやりとりがどうにもかみ合っていないようだった。
これには多分普通の人がそういうことを全然知らないという事情もあるのだろう。例えば、アナウンサーが「科学っていうと数式とかですよね。それと心とか感情とかって関係あるんですか?」みたいな疑問を最初に述べていて、それに対してクオリアのおっさんは「そう!確かに心を科学するのは難しいんです!」と興奮しつつ喋っていたのだけどちょっとずれた反応だと思った。恐らくクオリアのおっさんとしては心の問題に科学が適用できることを前提にした上でその難しさを語りたかったのだろうけど、そもそも一般人的には心と科学というのはどうやっても結びつかない代物なのだろう。*1
他にも嫉妬をリソースの分配と捉えた研究が神経経済学で行われているという話を聞いて(゚д゚)ポカーンとしていたアナに対して、クオリアのおっさんは「経済学ですよ!?おもしろいでしょう!」とか言うのだが*2アナの方は全然ピンと来ていないようだった。それは当たり前で、普通の人はそもそも経済学は希少性について研究する学問だということなんて全く知らず、*3お金儲けの方法についての学問?ぐらいの誤ったイメージしかないし、経済学と経営学の区別もつかない。そういう前提知識を十分に持ち合わせていない人に一足飛びの説明をしてしまうのはいかがなものか。結局のところクオリアのおっさんはそこそこ努力しているようだけど「分かっている人」の喋りしか出来ていないのだろうなと思った。まあ時間も限られたアドリブの喋りでは限界があるだろうし、結構多彩な執筆活動をしておられるところを見ると文章はウケているのだろうけど。*4
さてクオリアのおっさんはゴリゴリの自然主義志向の方々には不可知論的、ていうか論文書けと切り捨てられることも多くて、それは要するに「クオリア」という考え方が心身二元論的なものの見方と繋がりやすいということもあるのだろう。隔絶された魂の領域と身体の領域という思考枠組みはどちらかというと普通のひとのものの見方に近い。だけど、こういうやり取りを見ているとその批判対象のクオリアのおっさんでさえちょっと深く語ると一般人的にはなんか想像の斜め上の存在みたいに扱われていて、その点認知科学の知見を人口に膾炙させようと努力するこの人は必要なのではないかとも思った。「水は答えを知っている」みたいなオカルトもちゃんと批判しているみたいだし。*5

*1:とはいえ心にどこまで科学が適用できるかという問題は結構微妙なところもあるようで、自我とか意識とかいう部分まで来ると、はっきり不可知論を取る、というか分析に拒絶反応を示す人は認知心理学系統にも結構居る。特に哲学好きな人がなんでかそう。

*2:確かに僕は面白いと思った。

*3:もちろん「経済学とは希少性について研究する学問です!エッヘン!」とかいきなり言って分かるはず無いのでそこからも説明しないといけない。

*4:クオリアのおっさんが各種メディアに露出してるのは番組プロデューサーとか雑誌編集者等のメディアの作り手に脳科学認知科学に興味を持っている人が多いということではないだろうか。

*5:参照:http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A34RWA07SZNYJ3/