「キーチ!! 第7巻」新井英樹(小学館)

キーチ!! 7 (ビッグコミックス)

キーチ!! 7 (ビッグコミックス)

いつの間にか出ていた「キーチ!!」最新刊。
「カリスマ」輝一くんの立身出世?を描くジュブナイル(wの新刊が満を持して登場。甲斐くん登場からは、すわTWIMの再来かと思われた怒濤の展開だが、物語はさらに急展開。国家と法律と世間に立ち向かうカリスマ小学生とその参謀の運命やいかに!
なんだけど、うーん、個人的にあんまり盛り上がらなかった。というのは、2chの某スレで若干ネタバレを見てしまったのでこの巻の前半のクライマックスの流れが見えてしまったというのが大きいと思う。なんか6巻のときもそうだったような。新井英樹は構成は凄まじく巧いんだけど、その話の面白さって、どんでん返し的な展開の威力も大きいのかなとは思った。ドストエフスキーの「未成年」で主人公の妹のアレを知っていたらどうだろうか、とかそういう感じ。そういうわけであんまり客観的な評価が出来ないのが残念。
で、とりあえず本巻ベストの台詞は喜一君の「お前も俺も「ひとり」だ。明日…かならず来い。」あたりかな、と。こういう個人主義の描き方って毎度ながら巧い。新井英樹は政治思想の理解は若干浅いと思うけど、個人と道徳と力の関係がちゃんと人間本性に乗っ取って描かれているのはなかなか鋭いと思う。これ全部センスで描いてるとしたら相当凄いけど、どうなのかな。ニーチェあたりを読んでれば描けるのかな?
しかし、輝一くんと甲斐くんは小学生か。よく言われるけど、やっぱ中学生あたりにしといた方がまだ無理が無かったかなー。どちらかというと、輝一くんより甲斐くんの方があり得ない…。
大事なことを書き忘れていたので追記。ツナマヨおにぎりって僕はありだと思うのだがどうだろうか。
いずれにせよ、この時期、コンビニにひろがりを見せたオムライスおにぎり許容論の骨子は、おいしければなにを握ったっていいじゃないかというもので、これは正統おにぎり原理を揺るがす危険思想であり、これを許せば天むすは案外うまいので名古屋を馬鹿にするな愛知窮迫万歳。
僕は別に東海地方とは縁もゆかりもないのですけど!