「中核VS革マル」立花隆(講談社文庫)

中核VS革マル(上) (講談社文庫) 中核VS革マル(下) (講談社文庫)

最近いまいちな感じの立花隆の代表作っぽいもの。今でこそコンピュータ関連等でヨタ飛ばしては叩かれているが、やっぱこの人の真骨頂は左翼過激派もののルポルタージュですよ、旦那。あと角栄関連ね。
スターリン批判とハンガリー暴動を契機にして既成左翼への反発から生まれた数多くの新左翼セクト。そのうち革命的共産主義者同盟全国委員会というセクトから二つに分かれた派閥。それがいわゆる中核派革マル派である。この両派がいかにして分裂し、その後の血で血を洗う内ゲバに至ったのか、その過程を湛然に調べ上げた圧巻のルポルタージュが本作となる。このころの立花隆ってほんとに神がかってたみたいね。
すこし前のエントリーで、若干のオマージュ(謎)をこめて新左翼風の文体で書いてみたが、あのぶっ飛んだ文体で本当に相手方活動家に対する暴行・虐殺を誇り、同志に加えられたテロに対する憤怒をあらわにするのだから凄い。彼らの機関誌なんか読んでて頭がくらくらします。まさに市民的価値観から遠く離れたところにいっちゃってます。「狂気」なんていうと「右翼日和見プチブル的退廃道徳による脆弱な反革命的感性を暴露した!」とか言って怒られちゃうんだろうな。
まあ、今となっては各セクトとも弱体化して往年の凶暴性は鳴りを潜めており、たまに散発的なテロがベタ記事で報じられるばかりであります。嗚呼昭和は遠くになりにけり。うむ。
新宿騒乱や三里塚闘争など安保闘争から始まる一連の左翼運動の雰囲気を知るのにも良いのではないでしょうか。しかし、こんな時代があったとはちょっと信じられんね。