「ヒミズ」古谷実(講談社)

ヒミズ 1 (ヤンマガKC)

ヒミズ 1 (ヤンマガKC)


さてさてどうしたものか。
こういうのを喜怒哀楽の無い状態とでも言うんでしょうか。なんだか体の中が空っぽになった気がいたします。そして不意に押し寄せる寂しさ。やらなきゃならないことあるのにね。
そんな気分で無謀にも読み返してみましたよ。えぇえぇ。人が堕ちていく様というのが実にリアル。この人観察力あるよねえ。ギャグやってたから?
主人公住田君は河原のボート屋に住む貧乏中学生。父親は離婚して外を放浪、博打にかまけて借金こさえては金をせびりにくるというクズ人間。さらに一緒に住んでいる母親には通ってくるどっかのおっさん付きという見事に崩壊した家庭環境。おまけに住田君は時々怪物が見えるという特殊能力の持ち主(w。そんな境遇においても彼は日々「普通の生活」のために精進に励むのでした。
しかし、とある事件を機に住田君の人生は暗転、絶望した彼は「特別な人間」になることを目指し悪いやつを探して街を放浪するようになります。果たして住田君の運命や如何に。
人が悩むのは大体同じようなことでございます。特に生存の悩みというのは大きな感情の波をもたらしますです。住田君が立派な大人になる道を踏み外したのも生存の危機によるものだったのではありますまいか。住田君は確かに意志の人でありました。しかし、悲しいかな人の意志の及ばぬところに怪物は居座っているのであります。

なーんか面白いことないかねえ。飢えた野良犬の気分で街を歩く。あ、どうでもいいけど小生住田君にちょっと似てる。
ところでシガテラがあんまり面白くないのは小生だけか。日常に潜む毒ってコンセプトはわかるんだけどねー。これから急展開するのか?谷脇また出てきそうだし。