正義を形づくるもの

法律の文言は適用されるべき事案をすべて予想して書かれている訳ではないし、そうすべきでもないので柔軟性をもつかたちで抽象的に書かれている。そういうわけだから、限界事例においてはその条文を適用すべきかどうかで問題が出てくる。
では、どのような事案なら適用できて、どのような事案なら適用を否定するのか。
ここで「法の趣旨」がその指針となる。しかし、その「法の趣旨」といえど文言同様、というか当然に抽象的であるのでそれ自身から適用の可否の答えは出てこない。それは事案とセットになってはじめてあきらかになる。
というわけで、裁判官の仕事がそれを探る作業となる。
規範と事案が組合わさることで実現されるべき正義があきらかになる。