「青空人生相談所」橋本治(ちくま文庫)

青空人生相談所 (ちくま文庫)

青空人生相談所 (ちくま文庫)


悩み相談ってなんですかね。
相談ってことは何かが分からないということなんでございましょう。何が分からないか。いくつか分類するとこういうことになりますかね。

  1. そもそもなにが問題となっているか分からない。
  2. 問題は分かっているが解が分からない。
  3. 問題も解も分かってる。でも相談する。

1、2はまあ簡単。問題設定して解を与えればいいだけ。できればの話ね。問題は3です。
こう言う人って、ずーと思考がループしてるんですね。何度も何度も同じところをぐるぐる回って同じところにたどり着くんです。何故回るか。状況が変わってないからですね。関数と与えられる変数が同じなんだから何度計算しても同じ解しかでないのはあたりまえなわけです。
で、こう言う人に何がしてあげられるか。まあ、なにもできませんわな。回答者が代わりにやるわけにもいかない。こういうのって言語によるシミュレーションの限界だと思います。
でも、それでいいとも思う。相談者だってここまで生きてきて、というかDNAから考えればそれこそ何億年も存在し続けて今ここにいるわけだから、まあほっとけばいいと思うんですよ。ほっといても何とかなったりします。ならなかったりもしますけど(笑。でも、それぐらいの柔軟性ありますよ生命って。たぶん。それでもつらそうだったら話とか聞いてやりゃいいんですよ。特に何も言わなくても。だいたいがまともな感性持ってる人ならなんかうまいこと言おうにも言葉が上滑りするのを恐れるはずなんですよ。だって彼が悩んでいるのは彼の悩みであって自分の悩みではないんだから。「他人」ってのはそういうことなんだ。たぶん。それでもですよ。それでも、なんだかよくわからねえなという関係がずっと続いても、最後になんか少し理解できたとか一瞬だけ思えたら、そういうのは素敵なんだと思います。勘違いなんだろうけど。
まあ、楽しんでやるくらいの心意気でいればいいんだと思います。なんだかんだ言って皆さんこういうのお好きでしょ?小生はゲラゲラ笑いながら読みました。
なんか、橋本治風文体になってしもた。まあいいか。